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回顧録【静岡の老舗、飯塚印刷のスタッフブログ】

私が静岡市に戻り、飯塚印刷に就職したのは、今から45年ほど前。当時はデザインするのも全て手作業。いわゆるアナログ作業でした。


紙に鉛筆でデザインをし、クライアントに提出して、OKが出たら、文字の大きさや書体などの指定をして工場に入れます。
指定どおりに版下が作成され、それをコピーした物で文字校正をします。OKが出たら色指定をして、製版作業へ。もちろんOKが出なければ、何回も作り直しです。
製版作業を経て校正刷りをし、色校正となります。この段階でやっと印刷物と同じ状態で確認することができます。
とにかく最後まで、できあがりの想像をしながらの作業です。
印刷物は基本的にCMYKの4色のインクでできています。C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)です。特別にインクを調合して特殊な色を作ることもあるけれど、通常はこの4色で、大概の色は出せます。
色指定とは、例えばある文字の色を「C30%+M50%+Y20%」などと、この4色の配合を指定することです。これもアナログ時代は、カラーチャートを見ながら、頭で想像をしての作業でした。
版下制作や製版作業も、実にアナログ。写植で印字した文字を台紙に貼ることで、印刷物の元になる版下を作ります。それをフィルム撮影して、CMYKの4版のフィルムを作ります。
どちらも職人技と言えるほどの技術が必要でした。

それから数年ほどした頃。印刷業界にもDTP(デスクトップパブリッシング)の波が押し寄せました。90年代中頃からはMacが日本語対応するようになり、デザイン業界の主流ツールになります。
アナログ時代では印刷物の完成形を見ることは、全ての工程を経た色校正の段階まで不可能でした。それがデザインの段階でパソコン上で見ることができます。これはデザイナーにとっても、クライアントにとっても、分かりやすくて便利なものです。
そして、後工程も格段に楽になりました。デザイナーが作ったデータが、そのまま4版のフィルムに出力できるからです。そのため、最初の段階での直し作業は増えたけれど、色校正の段階でのやり直しはほとんど無くなりました。
今ではプロのデザイナーでなくても、簡単な印刷物は作ることができるようになりました。

それはそれで素晴らしいことですが、ただ時々、本当に時々、「職人」がいた時代「職人」の方々と一緒に仕事をしていた、こだわりにこだわったあの頃を思い出すと、心があたたかくなる今日この頃です。

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